2010年5月14日金曜日

ボストン美術館展のバニラちゃん


ボストン美術館展を観に、森アーツセンターギャラリーへ行った。16世紀から20世紀のヨーロッパの絵画80点が展示されている。名作揃いだが、モネとエル・グレコは凄い、と改めて感じた。何を今さら、だが。
ボストン美術館はモネのコレクションで知られているそうで、風景画10点がまとめて一室に展示されていた。「ジヴェルニー近郊の積みわらのある草地」(1885年)が一番良かった。飼料用の藁の山が積み上げられた空き地に、辺りを囲む樹々の根元の間から遅い午後の陽が射し込んでいる、その草地に落ちた光の加減がなんともリアルで、今までに様々な場所で見た草地に落ちる夕陽を思い出させた。さすが「光の画家」。
エル・グレコは「祈る聖ドミニクス」(1605年頃)が出展されていた。跪いて祈る聖人の全身像だ。写実性が重んじられた時代に、許され得る限り人物をデフォルメした独自の筆致、一目で「お、エル・グレコ」と分かる個性の強烈さが素晴らしい。アーティストはこうでなくてはいけない。唯一無二の存在であらねば。
展示作品の中からどれか一点だけ進呈する、ともし言われたら、ヴァン・ダイクの「チャールズⅠ世の娘、メアリー王女」(1637年頃)がいい(左上図)。水色のドレスと真珠の頸飾りで正装した、巻毛のローティーンの全身像だ。少女の瑞々しさと気品がいい。「バニラちゃん」って言う感じ。この絵葉書を買った。150円なり。庶民のささやかな眼の悦び。

帰りに、六本木の明治屋でバニラオイルを買った。週末にバニラスフレを作る予定なので。どんな時にも食い気を忘れないところが私らしい。

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