今日はベトナム風サンドイッチを作った。フランスパンの縦か横に切り込みを入れて内側にバターを塗り、ベトナム風の具を入れてヌックマムで味付けした物だが、今日は大根と人参のなます、胡瓜、ベーコンを入れた。さらに香菜やミント、唐辛子のみじん切りなどのベトナムの食材を加えていくと、より現地風に近づいて行く。米食のベトナム人が、ご飯に合わせて作ったおかずの残り物や、台所にある有り合わせの野菜をフランスパンに挟んでみました、という感じの料理だが、これが美味しいのだ。
昨夏、ベトナム料理に少し凝っていたときにも作ってみたが、上手くいかなかった。こんな料理とは言えないような物でも、見たことも食べたこともない料理を、本を頼りに作るのは結構難しい。明治の初期に、欧米人に雇われて見様見真似で西洋料理を作ったコックや台所女中たちの苦心が偲ばれた。
今年になって、有楽町のベトナム料理店でこのベトナム風サンドイッチ、「バインミー」を食べて、こういう物かと納得して、今日、作ってみた。
ベトナムへ行ったことはないが、書物を通して知るベトナムの料理や文化は、インドや中国やフランスの支配を受けながらも彼らの文化を柔軟に取り込んで来た、その重層性のある複雑さが魅力的だ。外国人の私には、フランスパンにベトナムの伝統的な食べ物を挟むバインミーは、そうした文化のささやかな象徴に見える。ベトナム人にしてみれば、そんな事をいちいち考えてみることもない程ありふれた食べ物ではあるのだが。
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