2010年9月6日月曜日

コンデスミルクティーを飲みながら

今日は、鶏手羽先のヌックマム揚げと空心菜のヌックマム炒めを作った。ベトナムの惣菜料理だが、手軽に作れるわりに「手羽先ってこんなに美味しかったかしらん」と思う味だった。暑い季節には暑い国の料理が合うなぁ、と夏ごとに思う。手早く作れるし、暑さに対抗する力を蓄えてくれるように感ずるのだ。

今日は久し振りに赤ワインを買った。フルボトルで千円前後の赤に美味しい物はなかなかなかろうと思っていたが、これはいけた。私が好きな白ワイン、北海道ワイン株式会社の「おたる」ワインは香料を入れているのではないかと思うほど芳醇な葡萄の香りがして、味わいもフルーティーだが、このメーカーの赤ワインが近所の西友に出ていたので買ってみたのだが、こちらも葡萄の香りが豊かでフルーティーな味だった。というわけで、今日の夕食は簡単ながら満足できる物だった。

先週、出光美術館の「日本美術のヴィーナス展」へ行った帰りに、銀座のベトナム料理店「ラ・スコール」へ寄った。白身魚の揚げ焼きと、ご飯とスープを注文した。ホールに出ていたシェフに何の魚かと尋ねたら、ナマズだという答えだった。ナマズ! 記憶にある限りでは食べたのは初めてだ。ベトナムではよく食べるらしいけど。
デザートは、バインフランと蓮茶にした。バインフランはベトナムのプリンだ。コンデスミルクを使った濃厚な味で、現地ではアヒルの卵を使うそうだが、「ラ・スコール」では合鴨の卵を使っている。今まで食べたことのない程こってりとしたプリンだった。どうしたらあんなに濃い味が出るのだろう? 自分でも作ったことはあるが、あんなに濃い味にはならない。

ここ数日、凝っているのがコンデスミルク入りの紅茶だ。コンデスミルクを入れて飲むベトナムコーヒーの、紅茶バージョンだ。ベトナムでは、グラスにコンデスミルクを入れ、グラスの上に置いたコーヒーフィルターでコーヒーを淹れる。白いコンデスミルクの上に黒いコーヒーがぽたぽたと滴り落ち、白と黒のツートンカラーの層ができる。それを見るのが好きで、紅茶党の私はコンデスミルクの上に紅茶をゆっくりと淹れる。急に淹れるとすぐにコンデスミルクと混ざって白濁し、ツートンカラーにならないので、一滴ずつ淹れるつもりで気長にゆっくりと注ぐと、ミルクティー色の紅茶と白いコンデスミルクの二層の飲み物になる。それが見たくて、今日は厚手のグラスを買った。飲む時はかき混ぜてしまうのだが。味は極甘のチャイだ。ふだんは紅茶に砂糖は入れないのだが、このコンデスミルクティーは今の蒸し暑く、気力も萎えてしまうような気候に妙に合うのだ。「熱中症対策には水分と塩分の補給を」とよく言われるが、糖分の補給も必要なのではないかと感じる。そうして、大学の恩師から聞いたエピソードを思い出す。
私の第二外国語はロシア語だった。ロシア語の先生の一人は、モンゴル語も教えておられた。と言うより、モンゴル語の方がご専門だった。モンゴル留学中に敗戦を迎えてシベリアへ送られ、捕虜収容所でロシア語を習得されたのだ。収容所では、料理係を割り当てられた。捕虜達は肉体労働をさせられるので、ふだんは塩味の濃い食事を好んだが、雨などで仕事が休みになる日は、普段の味付けの料理を出すと「しょっぱい」と言われたそうだ。
カンボジア在住の日本人が、「カンボジアは暑くて、立っているだけで汗が出て疲れる」と言っていたが、過酷な気候は知らぬ間に体力を消耗させるので、激しい労働の後では濃い塩分や糖分を欲するように、厳しい暑さの下でも、身体は自然と濃い甘味や塩気を欲するようになるのではないかと思う。

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