今回、読み返して、大まかにでも覚えていたのは「したたる水滴」と「偶然が奇跡を作る」の二編でした。前者は、財産目当てに結婚した妻への夫の復讐を、ルパンが逆手に取って素晴らしい宝石を手に入れ、後者は気位の高い伯爵令嬢が、加害者から贈られた小切手を破るのを見越して、予め期限の切れた小切手と掏り替え、十万フランを懐に入れるという結末です。心理的な推理という面でも、恋愛沙汰が飛び交っている点でも、フランス的なミステリーです。
中学生の時、気が付かなかったのは、フォリー・ベルジェール座の話が出ていたことでした。モーパッサンの『ベラミ』にも出てくる、有名なミュージック・ホールです。「白手袋・・・・・・白いゲートル」で、フォリー・ベルジェールのアクロバット歌手とルパンは恋に落ち、事件解決後、二人は旅にでます。旅行中、ルパンは事務所にこんな貼り紙をしておきます。
「恋愛中につき休業。蜜月後再開。」
0 件のコメント:
コメントを投稿