2010年6月18日金曜日

ルーシー・リー展


今年初めての西瓜を食べた。今日は美術館へ行き、鑑賞の途中でお腹が空いてきて、空腹と疲れと蒸し暑さでぐったりして帰宅したのだが、一口西瓜を食べた途端に瑞々しさが身体中に拡がった。梅雨と夏の蒸し蒸しした季節に、冷えた西瓜ほど美味しい物はない、という気がした。旬の果物を頂くと、季節そのものを食べている気がする。

今日観て来たのは、国立新美術館のルーシー・リー展だ。ルーシー・リーはウィーン生まれのユダヤ人で、第2次大戦時にロンドンへ亡命して以来、終生ロンドンに住み続けた陶芸家で、その経歴が示すごとく都会的で女性的な作風だ。ポスターピースの青釉鉢(上図)に惹かれて展覧会へ行ったのだが、それは逆三角形型の水色の鉢で、広い縁が金色のラインで縁取られている、その水色と金という色の取り合わせがいかにもヨーロッパ的で、くすんだ土色の日本の陶磁器に馴れた目には斬新だったのだ。他に緑色の地に金色の縁という鉢もあったし、淡いピンクの鉢や花器もあり、女性好みの明るく柔らかな色彩と、洗練されたシンプルなシェイプ、作品全体から感ぜられる洗練、そんなものがいいと思った。

2010年6月11日金曜日

ブランデー漬けの桜ん坊

今日は桜ん坊のブランデー漬けを作った。作ったというほどの物でもない。洗った桜ん坊をブランデーに漬け込むだけだから。これを数ヵ月、冷暗所に置いておくと勝手に出来上がっているはずだ。
ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの木陰から』で、著者が近所のお宅を訪問した際にお茶とブランデー漬けの桜ん坊でもてなされた、というのを読んで以来、どんな味がするのだろうと気になっていた。私はお酒に弱いので、そう美味しい物になるとも思えないが、ものは試しで作ってみた。出来上がりが今から楽しみだ。

2010年6月9日水曜日

ベトナム風バケットサンド

今日はベトナム風サンドイッチを作った。フランスパンの縦か横に切り込みを入れて内側にバターを塗り、ベトナム風の具を入れてヌックマムで味付けした物だが、今日は大根と人参のなます、胡瓜、ベーコンを入れた。さらに香菜やミント、唐辛子のみじん切りなどのベトナムの食材を加えていくと、より現地風に近づいて行く。米食のベトナム人が、ご飯に合わせて作ったおかずの残り物や、台所にある有り合わせの野菜をフランスパンに挟んでみました、という感じの料理だが、これが美味しいのだ。
昨夏、ベトナム料理に少し凝っていたときにも作ってみたが、上手くいかなかった。こんな料理とは言えないような物でも、見たことも食べたこともない料理を、本を頼りに作るのは結構難しい。明治の初期に、欧米人に雇われて見様見真似で西洋料理を作ったコックや台所女中たちの苦心が偲ばれた。
今年になって、有楽町のベトナム料理店でこのベトナム風サンドイッチ、「バインミー」を食べて、こういう物かと納得して、今日、作ってみた。

ベトナムへ行ったことはないが、書物を通して知るベトナムの料理や文化は、インドや中国やフランスの支配を受けながらも彼らの文化を柔軟に取り込んで来た、その重層性のある複雑さが魅力的だ。外国人の私には、フランスパンにベトナムの伝統的な食べ物を挟むバインミーは、そうした文化のささやかな象徴に見える。ベトナム人にしてみれば、そんな事をいちいち考えてみることもない程ありふれた食べ物ではあるのだが。

2010年6月8日火曜日

チェリーな日

今日はパイ皿を買って、チェリーパイを作った。冷凍パイシートに、先日作ったチェリージャムを詰めたのだが、なかなかいけた。今度はパイシートも手作りしよう。チェリージャムは煮詰めるのに時間がかかるので、今度の詰め物はさっと煮ればいいチェリーコンポートにしようと思い、レシピをインターネットで探した。こういう時、インターネットは便利だとつくづく思う。以前は本屋や図書館へ出かけて、お目当てのレシピの載っている本を探したもので、それだけでも多少の手間はかかったものだ。

今日はチェリーご飯も作った。刻んだアメリカンチェリーと塩少々を入れて炊く物で、ほんのり赤く染まった甘口のご飯だ。

2010年6月6日日曜日

フルーツイーター

最近、またジャム作りに凝り始めた。今日はアメリカンチェリーのジャムを作った。500グラム分のチェリーの種を取るのもちょっとした手間だったが、煮詰めるのに1時間ぐらいかかった。ジャム作りは疲れる。昨年、ジャム作りをしていたときは電子レンジで作る簡易版だったので、大した手間はかからなかったのだが、鍋で煮詰める方法だと、美味しいけれど一仕事だ。
このジャムを使ってチェリーパイを作る予定だが、それまでにジャムがもつだろうか。私は果物好きで、その中でも一番の好物が桜ん坊なので、おやつ代わりにこのジャムをつまんだりして、いざパイを作ろうとした時に詰め物にするジャムがなくなっている恐れがある。桜ん坊の季節は短いので、この旬の時期に桜ん坊を使った料理を存分に作るつもりだ。
ちなみに、ロンドン塔の衛兵隊の通称は「ビーフイーター(牛食い)」だが、私は「フルーツイーター(果物食い)」だと思っている。あるいは「ドリームイーター」かも。吉田茂は、自分は「人を食っている」と言ったそうだ。人の好物はそれぞれだ。