2013年2月24日日曜日

玉子料理とそれにまつわるエッセイなど

 2月の三連休に、久し振りにお菓子を作った。「ノルマンディー風りんごのスフレ」というお菓子だ。2時間かかった。アップルパイのフィリングのような林檎の甘煮に、卵を泡立てたメレンゲを乗せてオーブンで軽く焼く、というお菓子を作り慣れた方ならササッと作れるだろう何と言うことはないレシピなのだが。お料理を始めたばかりの頃は、夕飯の支度に2時間かかったことを懐かしく思い出した。今は平日の夕飯の支度は30分を目安にしている超手抜き料理だが。                                 これは藤野真紀子さんの『スフレ』(雄鶏社)という本に載っていたレシピだ。写真が見るからに美味しそうなので以前から作りたい、作りたいと思っていた。この本を買ったのも10年以上前だ。昔、新宿に「ジョルジョサンク」という喫茶店があり、そこの香りの高いアールグレイと焼き立てのふわふわのスフレケーキが大好きだった。高めのお値段で、学生の頃には本当に高値の花だった。そんなことからスフレケーキに憧れてこの本を買ったが、ふだんの食事の支度もろくにしていなかった頃なので、写真を眺めてはウットリと味覚の妄想の世界に浸っていた。
 「ノルマンディー風りんごのスフレ」は、初めて作ったわりには失敗はしなかったが、合格といえるのかどうか分からない。メレンレゲが表面だけは美味しそうに焦げているのに、スプーンですくうと中は液状だった。完成品を皿に切り分けた写真でもメレンゲはドロッとしており、レモンメレンゲパイのようにカッチリした感じではない。メレンゲパイのメレンゲは卵白だけで作るが、このスフレのメレンゲは卵黄と薄力粉も加えるので、こんなカスタード風のドロドロでいいのだろうか??? 実際に見たことも食べたこともない料理を初めて作る時は、失敗したのか成功したのかよく分からない。
 と言いつつ出来たてをアッという間に平らげ、「そうだ、写真を撮るんだった!」と気づいた時は半分以上、平らげていた。上の写真はその残骸である。
 
 この頃、よく玉子料理を作るが、それは早川茉莉さん編集の『玉子ふわふわ』(ちくま文庫)の影響だ。題名道り、玉子料理にまつわる随筆を収録したアンソロジーだ。新宿丸井の調理雑貨のお店で料理のレシピ集やエッセイ集なども置いてあったが、なかなか良い品揃えで、その中の1冊がこの文庫本だった。冒頭のエッセイが森茉莉さん、次が石井好子さんという実に私好みの選択で、読むこと、食べること、料理することが好きな人には実に魅力的なラインナップだ。私は相当食い意地が張っており、お料理エッセイに夢中になっては「こういう本を読む時間があるなら古典の名作を読むべきだったのではないか」と後ろめたい気持ちになるが、早川さんは私の何層倍も上をいっている。よくこれだけ料理にまつわる作品を読み、その中から玉子料理の作品だけを取り出せるほどの読書の蓄積があるなぁと感じ入ってしまった。
 このアンソロジーの中に卵白を硬く泡立てて作るスフレオムレツが出てきて、最近の週末はこれをよく作っている。昔から知っているレシピだが、以前よりは卵白を上手く泡立てられるようになっていて、それが楽しい。そんなことから冒頭の『スフレ』の本も読み返したのだ。
 森茉莉さんと石井好子さんのオムレツのエッセイは秀逸で役にも立つが、私には以前からお馴染みの話だ。津田晴美さんの「風邪ひきの湯豆腐卵」は役に立った。湯豆腐の真ん中を刳り貫いて卵を落として蓋をし、ポーチドエッグにするという物だ。簡単そうだが、2度作ってみて、2度とも玉子が好みの固さには固まってくれなかった。またトライしよう。

お菓子作り

今日はシフォンケーキを焼くつもり、だったが、とんでもない寝坊をして、それどころではなくなってしまった。

 先週末はアップルパイを焼いた。右がその写真だ。いつもより長く焼いたのでパイ皮がパリッとしたが、底の皮は相変わらず生焼けの感じだった。パイの底まで皮がパリッと焼けているアップルパイを見るたびに、どうやったらあんなに上の皮を焦がさずに底まで火が通せるのか不思議に思う。
 私が一番美味しいと思うのは、紀ノ国屋の「アップルスタング」という長方形のアップルパイだ。型には入れずに焼ける形で、中の林檎の味も、底までパリッとしたパイ皮も申し分がなく、学生時代からのファンだ。たまにアップルパイを焼く時は、あの味を思い浮かべながら作っている。