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「ノルマンディー風りんごのスフレ」は、初めて作ったわりには失敗はしなかったが、合格といえるのかどうか分からない。メレンレゲが表面だけは美味しそうに焦げているのに、スプーンですくうと中は液状だった。完成品を皿に切り分けた写真でもメレンゲはドロッとしており、レモンメレンゲパイのようにカッチリした感じではない。メレンゲパイのメレンゲは卵白だけで作るが、このスフレのメレンゲは卵黄と薄力粉も加えるので、こんなカスタード風のドロドロでいいのだろうか??? 実際に見たことも食べたこともない料理を初めて作る時は、失敗したのか成功したのかよく分からない。
と言いつつ出来たてをアッという間に平らげ、「そうだ、写真を撮るんだった!」と気づいた時は半分以上、平らげていた。上の写真はその残骸である。
この頃、よく玉子料理を作るが、それは早川茉莉さん編集の『玉子ふわふわ』(ちくま文庫)の影響だ。題名道り、玉子料理にまつわる随筆を収録したアンソロジーだ。新宿丸井の調理雑貨のお店で料理のレシピ集やエッセイ集なども置いてあったが、なかなか良い品揃えで、その中の1冊がこの文庫本だった。冒頭のエッセイが森茉莉さん、次が石井好子さんという実に私好みの選択で、読むこと、食べること、料理することが好きな人には実に魅力的なラインナップだ。私は相当食い意地が張っており、お料理エッセイに夢中になっては「こういう本を読む時間があるなら古典の名作を読むべきだったのではないか」と後ろめたい気持ちになるが、早川さんは私の何層倍も上をいっている。よくこれだけ料理にまつわる作品を読み、その中から玉子料理の作品だけを取り出せるほどの読書の蓄積があるなぁと感じ入ってしまった。
このアンソロジーの中に卵白を硬く泡立てて作るスフレオムレツが出てきて、最近の週末はこれをよく作っている。昔から知っているレシピだが、以前よりは卵白を上手く泡立てられるようになっていて、それが楽しい。そんなことから冒頭の『スフレ』の本も読み返したのだ。
森茉莉さんと石井好子さんのオムレツのエッセイは秀逸で役にも立つが、私には以前からお馴染みの話だ。津田晴美さんの「風邪ひきの湯豆腐卵」は役に立った。湯豆腐の真ん中を刳り貫いて卵を落として蓋をし、ポーチドエッグにするという物だ。簡単そうだが、2度作ってみて、2度とも玉子が好みの固さには固まってくれなかった。またトライしよう。
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