2009年11月23日月曜日

印象的なスイーツ

今日はパンプキンパイを作った。お菓子の本にシナモンと生姜は南瓜の甘味を引き立てるとあったので、試してみたかったのだ。初めてにしては合格点の出来栄えだった、ということにしておこう。南瓜とシナモンと生姜の組み合わせは、不思議な香りと味がした。絶妙の三重奏。
手作り菓子のよさは、好きな香辛料を組み合わせたり、甘味量を調節して、好みの香りや味を作り出せるところにある。自分で菓子を作るようになってから、市販の菓子は買う気がしなくなった。万人向けの味にするため、保存性を高めるために大量の砂糖が使われているのに気づいたからだ。プロのパティシエが作った出来たての菓子のほうが私が作る物より何倍も美味しいには違いないが、そういう物は日常的には買えないし。

市販のケーキにはない味だと思って印象的だったのは、他に「マルフーガのグレーズケーキ」がある。『Olive Bar―有元葉子のオリーヴオイルレシピ』(ソニー・マガジンズ)に載っていた物で、バターの代わりにオリーブオイルを使い、小麦粉とローズマリーを合わせ、オリーブオイルと蜂蜜のグレーズをかけて作るケーキだ。冷蔵庫に残っていたフレッシュのローズマリーを痛まないうちに使い切ってしまおう、この風変わりな(と私には思えた)ケーキを作るのは一生に一度だ、という気持ちから作ったのだが、「ローズマリーの香りが印象的な、大人のためのスイーツ」というキャッチコピー通り、本当にローズマリーの香りが印象的な洗練された味で、しばらくは口が利けないぐらいうっとりした。自分はローズマリーの独特な刺激の強い香りが好きなのだと気がついて、また作ろうとドライのローズマリーを買った。
ローズマリーという名前も、なぜか知らないがひどく好きだ。アイラ・レヴィンの『ローズマリーの赤ちゃん』も好きだ。ちょっと脇道に逸れるけど。この本を読みたいと思ったきっかけは、「ローズマリー」という主人公の名前の響きが気に入ったからだ。「メリーの赤ちゃん」や「ジェニーの赤ちゃん」では読む気がしなかったと思う。私という読者に限っては、この本のタイトルは絶好の吸引力があったのだ。
話を元に戻すと、このケーキは有元さんが輸入販売も手がけている、イタリアのマルフーガ社のオリーブオイルを使っているから「マルフーガのグレーズケーキ」なのだが、私は近所で買った味の素社のオリーブオイルを使ったので、「味の素のグレーズケーキ」になった。これでは夢がない、日常的、庶民的過ぎて。マルフーガのオリーブオイルは一番小さな瓶で250ml、2,625円だが、そんなふうに高価な、異国的なイメージもこのケーキの魅力の一つである。料理、ことにお菓子は名称も重要だと思う。名前から喚起されるエキゾチックな、美味しそうなイメージも、お菓子を味わう要素の一つだから。今日、パンプキンパイを作るときは2冊の本を参考にしたが、片方の本では「パンプキンパイ」、もう一方では「かぼちゃのデザートタルト」になっていた。同じ物を指していても、呼び方次第で湧き上がるイメージが変わるものだ。

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