今日はアレクサンドロス大王の誕生日なので、ステーキとケーキでお祝いをしました。今年で2364歳なので、歳の数だけケーキに蝋燭を立てようとしたら大変なことになったでしょう。
「それって、ご馳走を食べる口実?」と思ったあなた、その通りです。愛猫の誕生祝いをした友人妻夫がいますが、私たちがご馳走を食べたり飲んだりしている傍らで、当の猫は自分が主人公だということにさえ気づいていませんでした。
彼は少女時代からの英雄で、心の恋人のようなものなので、美術展でアレクサンドロスをモデルにした彫刻や絵画に出会うと、幼馴染みに再会した懐かしさを覚えます。
毎年7月6日には、プルタルコスのアレサンドロス伝を読み返すようにしています。歴史が好きなので、各時代ごとにお気に入りの英雄がいますが、一番好きなのはやはり彼です。その魅力を数え上げればきりがありませんが、私にとっての最大の魅力は素朴な高貴さです。弱い人間ほど複雑なものです。精神に高貴さ、強さ、誠実さのいずれかを備えている人間は、本質的には単純なのではないでしょうか。彼はマケドニア国王や全ギリシア軍の総指揮官として複雑で多岐にわたる政務と軍務を司っていましたが、根本的には直情的で一途な青年で、苦労人だった父親のフィリッポス2世のようには老成することのできない人だった、だから33歳で亡くなったのは天命だと思います。
1994年5月に、古代遺跡を巡るギリシア一周のバスツアーに参加しました。マケドニア地方ではテッサロニキ、古都ペラ、ヴェルギナへ行きました。ヴェルギナは、フィリッポス2世が葬られた地です。墳墓に付随した博物館で埋葬品を観ましたが、フィリッポスに被せられていた黄金製の樫の葉の冠は、博物館の入口にあった樫の葉そのままでした。マケドニアは樫が豊かで、月桂冠の代わりに樫の葉を編んだ冠が用いられていたのです。墳墓のある丘陵地帯はカモミールに覆われ、花から漂う林檎の香りに満ちていました。
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