2008年7月4日金曜日

ニコ・ピロスマニ―グルジアの素朴派

 右の絵は、ニコ・ピロスマニ(1862?~1918年)の「食事を運ぶ少年」です。『アンナ・カレーニナ』第3編の、農夫へ昼食を届ける子どもの描写を彷彿とさせます。

 「子供たちは丈の高い草を分けて来るので、やっと見分けのつくものもいれば、道路づたいに来るものもいたが、みんなパンの包みや、ぼろきれで栓をしたクワス[注]の瓶を、重そうに手にさげていた。」(木村浩訳、アンナ・カレーニナ (中巻) (新潮文庫)
[注]クワス・・・本式にはライ麦と麦芽、家庭では黒パンとイーストを醗酵させて作る清涼飲料で、アルコール度1~2.5パーセント。コーラか、気の抜けたビールのような味だそうです。

 ピロスマニはグルジアの画家で、今日行ったBunkamura ザ・ミュージアムの「青春のロシア・アヴァンギャルド」展で知りました。この作品自体は出展されていませんが、同じようにグルジアの風物を、独習者らしい素朴な筆致で描いた作品が10点まとめて展示されており、その一角だけ「これぞ、ロシア」という感じがしました。土着の人間が土着の風物を描く強烈さに比べると、他の「アカデミックな」画家の作品の印象は色褪せ、西欧の亜流品という感じがしました。
 展示作品の中で気に入ったのは、「コサックのレスラー、イヴァン・ポドゥーブニー」と「祝宴」です。前者は残雪を頂いた山脈を背景にしたコサック人の全身像、後者はダ・ヴィンチの「最後の晩餐」風に正面を向いて祝卓に連なった男達の絵です。
 ピロスマニはアンリ・ルソーに譬えられる素朴派で、私はルソーも大好きです。また別の素朴派、アンドレ・ボーシャンも。というわけで、自分が素朴な絵が好きなことに、今日初めて気がつきました。もっとも、私以外にはどうでもいい事ですが。でも大半のブログって、本人以外にはどうでもいいコトを書くためにある、んですよね?

 というわけで、些事をついでに書いておくと、今日、初めてTRADOS(トラドス)を使いました。翻訳支援ソフトで、実務翻訳の求人条件によく「TRADOSの実務使用経験のある方」とあるので、使い方を覚えなくては、と昨年から思っていました。解説本を買ってそのままになっていたのが、今日よくやく役立ちました。

Bunkamura 青春のロシア・アヴァンギャルド

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